― 「住みやすさ」を数字で見える化する新しい試み ―
いま出回っている「ランキング」の正体
世の中には「住みやすいまちランキング」や「子育てしやすい自治体ベスト◯◯」といった記事が数多く出回っています。
しかし実際に内容を読んでみると、次のような特徴を持っている場合が多いのです。
- 不動産会社や雑誌がマーケティング目的で作成している
- 「住みたいと思うまちアンケート」など、抽象的な印象に依存した主観的な調査
- 算出基準や重みづけが公開されておらず、透明性が低い
つまり「住みやすい=買わせたい」という構図になっており、本当に生活者が求める情報ニーズに十分応えられていないのが現状です。
海外との違い
一方で海外に目を移すと、各種都市比較プラットフォームがあります。これらは国内のランキングとは決定的に異なり、次のような特徴を備えています。
- 公的統計や国際機関のデータを利用
- 犯罪率、医療アクセス、大気汚染、購買力など、数十の客観指標を公開
- 指標の重みづけを明示し、ユーザーがカスタマイズ可能
これらは単なる「人気投票」ではなく、研究者や政策立案者も使えるレベルの透明性と再現性を持っています。
日本に欠けているもの
日本にはまだ、客観データをもとにまちの暮らしを比較できるプラットフォームが存在していません。
ランキングは話題づくりには適していますが、
- 実際に子育て世帯が安心して移り住めるか
- 通勤や教育、医療といった、生活に必需のサービスににどれだけアクセスできるか
といった具体的な判断材料を提供するものではありません。
ランキングと生活実態の乖離
また、巷にあふれる「住みやすいまちランキング」「子育てしやすいまちランキング」の多くは、行政区単位で順位づけを行っています。
そのため、例えば広大な面積を持つ政令指定都市を「1つの自治体」として一括りに評価してしまうケースが少なくありません。
しかし、実際の暮らしの実態は地域ごとに大きく異なります。例えば、
- 大阪市の北区と西成区では、住宅価格・治安・利便性が大きく異なる
- 横浜市の青葉区と鶴見区では、子育て環境や教育水準に差がある
- 名古屋市の千種区と港区でも、交通アクセスや街の雰囲気はまったく違う
など、同じ自治体でも、家賃水準や待機児童の有無、医療機関へのアクセス、生活利便性は大きく変わるのが実態です。
こうした「生活者にとって重要な違い」が切り捨てられ、単純化されたランキングは、現実の暮らし選びに役立たないばかりか、誤解を生みかねません。
まちライフラボの挑戦
そこで「まちライフラボ」では、公的統計や客観的な指標をもとに、生活者が自分に合ったまちを見つけられるよう支援することを目指します。
- 人口動態、犯罪発生率、医師数、待機児童数といった 公的データの可視化
- 家賃や物価、通勤時間、子育て支援制度の 定量的比較
- 将来的にクラウドソースによる 住民の実感データ も取り入れる構想
「人気があるから」ではなく、**「数字で確かめる」**ことを大切にします。
まちライフラボでは、こうした問題点を踏まえ、自治体全体の平均値ではなく、できる限り実態に即した比較・可視化を目指します。
単なる「自治体」という行政区分に縛られるのではなく、みなさんが実際に暮らすエリアの住みやすさを可視化することを目標にしています。
生活者にとってのメリット
- 引っ越しや移住の判断材料:家賃相場や教育環境を都市ごとに比較できる
- 子育て世帯の安心:医療アクセスや支援制度の可視化で「安心して育てられる街」がわかる
- 自治体や研究者にとっての価値:他地域と比較可能なオープンデータとして活用できる
最後に
「住みやすい」「子育てしやすい」といった言葉は、人によって価値観や基準が異なります。だからこそ、どんな基準で選ぶのかを可視化することが大切です。
まちライフラボは、「印象ではなくデータで」「誰かのランキングではなく自分の基準で」まちを選べるようにするために立ち上げました。
少しずつですが、着実に客観的な記事やデータを積み重ねていきます。
当サイトと一緒に、あなたにぴったりの“住みやすいまち”を探してみませんか?